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皮膚病コラム 亜鉛反応性皮膚炎と表在性壊死性皮膚炎


食事制限により痩せすぎ、栄養失調の子犬をお連れになる患者さんが多くいらっしゃいます。

その子達の多くが栄養失調により亜鉛、アミノ酸が不足し、皮膚に炎症が起こっています。(亜鉛反応性皮膚炎)

亜鉛は代表的必須微量元素で不足すると皮膚炎や脱毛、貧血、 ホルモンの異常、細菌に感染しやすくなったり、骨粗しょう症などを引き起こす原因になります。

与えられる食事量が少ないと当然、微量元素である亜鉛や体内で亜鉛を運ぶ役割をしていアミノ酸も不足してしまいます。

亜鉛、アミノ酸共に不足するために痩せすぎの子犬に亜鉛反応性皮膚炎が多く見られると考えています。


そのまま栄養失調状態が続くと膵臓からグルカゴンというホルモンが大量に分泌され高グルカゴン血症と呼ばれる状態になります。長く続くと肝臓にも障害が出てきてしまいます。

グルカゴンは血糖値を上げ、肝臓に蓄えた栄養を糖に変える働きを持っています。

この高グルカゴン血症が原因の皮膚の炎症が表在性壊死性皮膚炎(肝皮症候群、壊死性遊走性紅斑)です。

皮膚に症状が出てからでは栄養をたくさん与えても皮膚は治りません。早急に痛んでしまった内臓を治療する必要があります。

子犬はたくさんの栄養を必要とします。1日2食では栄養が全く足りていません。

成長期の栄養状態はその後の健康を左右する大事な時期です。しっかり栄養を与えてこれらの疾患を発症しないようにしてあげましょう。


症例1

●犬種:マルチーズ
●性別:オス

●治療開始年齢:8歳
●診断
表在性壊死性皮膚炎

●症状

6年間アトピーの治療を受けたものの改善が無く、全身の脱毛、均一性発赤、皮膚苔癬化、肥厚硬化まで進行してしまっていた。

初診時は免疫の異常、ホルモンの異常も伴っており、きわめて重症に至ってしまっていました。

マルチーズではこの表在性壊死性皮膚炎が非常に多く見られます。多くの子の症状は軽度ですが、年数が経つにつれて重症化してしまうため早急に表在性壊死性皮膚炎の治療を開始する必要があります。

この子の場合発症から6年と年数が経過してしまい、ここまで悪化したと思われます。

症例2

●犬種:T.プードル

●性別:メス

●治療開始年齢:12歳
●診断
表在性壊死性皮膚炎

●症状

約9年間、アトピーに対する治療を受けたものの改善が無く、全身の薄毛及び均一性発赤、耳介の発赤、肥厚硬化、色素沈着が見られた。

初診時は免疫の異常による指間の腫脹、肉球の腫大、硬化、ヒビ入りも認められた。

プードルもまた表在性壊死性皮膚炎の発症率が高い犬種です。

症例3

●犬種:イタリアングレーハウンド
●性別:メス

●治療開始年齢:1歳
●診断
遺伝性疾患カラーダイリューション脱毛、自己免疫疾患、亜鉛反応性皮膚炎の混合タイプ

●症状

イタリアングレーハウンドは遺伝性のカラーダイリューション脱毛や自己免疫疾患、肝疾患などを発症する可能性が高い犬種です。カラーダイリューション脱毛は多くの場合生後半年ほどで発症します。

十分亜鉛を与えていても亜鉛反応性皮膚炎の症状が強く出ていましたが、更に亜鉛量を増やすことで改善が見られたため、先天的に腸からの亜鉛の吸収が悪い子と予想されます。